オランウータンは現地の言葉で「森の人」を意味します。長い間、森の象徴と考えられてきましたが、森の中でひっそりと暮らしているオランウータンの暮らしぶりは謎とされてきました。まさに熱帯雨林を代表する生き物です。私たち「オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)」は、この「森の人」=The Man of the Rain Forestから英名をいただき、略称をMOFとしました。
 
オランウータンをキーワードに、森の人の目線に立って、私たちの環境を考え、未来の地球を見つめ、自然から遠のきつつある私たち人間の生き方を考える、人と人とのつながりをつくる会です。
 
●2008年6月14日●
●設立記念講演会開催●

 ■MOF設立の背景■

インドネシア、カリマンタン島のクタイ国立公園は、赤道直下の森に残る野生オランウータンの生息する有数の低地熱帯雨林です。1930年代からインドネシアで保護地に指定されてきた古い保護林の2個所のうちのひとつで、ここは同時に、原油・石炭・液化ガスなどの地下エネルギー資源の宝庫でもあります。これら地下エネルギー資源は、過去20年余り、日本の電力・都市ガス供給の一部を潤わせてきたものでした。資源利用国の需要は、資源供給国の外貨獲得への熱をあおり、現地の自然の回復力を不能に陥れる力を持っています。
 
このクタイ国立公園で野生オランウータンとその生息地である熱帯雨林の保護保全活動に取り組む日本人がいます。オランウータン研究の第一人者である鈴木晃博士です。・現地拠点主義 ・長期継続 ・住民参加 を柱に、現地に活動拠点「キャンプ・カカップ」を建立、住民らとともに、この25年間、野生オランウータンの研究とその生息地である熱帯雨林の保全のための取り組みを続けています。(オランウータン保護調査委員会 外部サイト)
 
「いま手を打たなければ、大変なことになる。私たち日本人はあまりに知らなすぎる。」この急を訴える呼びかけによって結成されたのが、私たち「オランウータンと熱帯雨林の会(MOF)」です。研究者としての専門性の上に立った保護保全策の提唱と、その実現に向けた徹底した現地拠点主義、住民との協働の重要性を説く鈴木博士の理念と構想に賛同して、MOFは現地の活動をより一層充実させるべく活動していきます。

《設立趣意書》

熱帯雨林の森、そこには多様な生き物がくらしています。ヒトの隣人−オランウータンも、そこにくらす生き物の象徴ともいえる住人です。

今この熱帯雨林が危なくなっています。1960〜1970年代樹木の過剰伐採が騒がれたこの森は、その後も引き続き石油、液化ガス、石炭等の地下資源開 発、移民村、油ヤシ開発と、この20年間で森は急速に後退し続けています。同時にそこに暮らすオランウータンをはじめとする生き物たちもその生存が大きく 脅かされています。

一方、「地球温暖化」、「砂漠化」、「二酸化炭素削減問題」、「異常気象」といった地球規模の環境問題は日々報道をにぎわせています。熱帯雨林の減退は日本への台風の襲来の要因をはじめとしてこれらの問題に大きくかかわっていることであります。

代表者は1983年以来、インドネシア、ボルネオ島で野生オランウータンの継続的研究に従事し、ここ20数年来、「オランウータンと熱帯雨林」をテーマに 取り組んでおり、多年の経験を有しております。1993年からは「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会」を両国の研究者らによって組織し、 現地住民らと協力して森林の苦難な状況に対応すると共に、日本国内での啓発普及活動にも取り組んでまいりました。

今後より具体的に課題に取り組み、現今の苦難な状況を改善していくために法人化することを決意し、関係者の皆様とも協議した結果、ここにその設立を宣言す るにいたりました。赤道直下の熱帯の森は、地球の大気・海流の循環の上からも原点であり、地球環境のかなめのひとつと言えます。

地下資源エネルギーは、日本の電力・都市ガスの重要な資源であることは言うまでもありません。資源輸入国である日本と、熱帯の森を抱えた資源産出国とが互 いに手を携えていくことによって、より豊かな協力関係を構築し熱帯の森を共に維持していく新たな関係を築き上げることを念願して本会を設立しました。相手 国の状況を深慮し、良好な関係を持続していくなかで自然とヒトとの関係を考えていくことはこれからの熱帯雨林という地球環境を維持していく上で重要なこと であります。

本会は、上記の目的の遂行のための事業資金の確保を含め、広い意味での支援体制を確立し、その重要性を社会に広く糾合することで、よりいっそうの環境意識の啓発促進を意図するものであります。

2008年2月27日      設立代表者 鈴木 晃


オランウータンと熱帯雨林の会 事務局
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ホームページ     http://moforangutan.web.fc2.com/
メールアドレス     mof.orangutan@gmail.com
会の概要はコチラ
 

■MOFの活動■

1. オランウータンと熱帯雨林の調査・研究…
保護保全のためには、基礎調査が欠かせません。生態や実態を無視した保護策では意味がありません。そのための貴重な調査・研究フィールドとして、保護地域の充実と拡大を目指します

2.オランウータンと熱帯雨林の保護・保全…
森林パトロール、植林を含めた政策を提唱・実現に向けて活動します

3.オランウータンと熱帯雨林に関する普及・啓発…
メディアを通して流されている情報はあまりに事実から掛け離れています。
講演会やポスター展を開催し、野生のオランウータンと熱帯雨林の現状を、
より多くの方に理解していただきたいと思います

■MOFの目的■

近年、環境への関心の高まりから、地球温暖化といった問題が注目されています。CO2削減のために省エネやエコバック持参といった日常の取り組みがクローズアップされていますが、 それだけでは問題の根本的解決にはつながりません。今、何が問題で、何をしなくてはいけないのか。50年先のCO2の削減が論じられても、現地のオランウータン生息地の主幹となる熱帯雨林は、違法伐採と地下資源需要の圧力の前に姿を消してしまおうとしているのです。緊急の対応策と具体的な支援が必要なのです。

最近では「絶滅、絶滅」とオランウータンの危機感をあおっていますが、「オランウータンの保護」という叫び声が飛び交っているだけで、それだけではオランウータンと彼らが生息する森を守る有効な手段とはなり得ません。保護活動の現場は何を求め、何をしたらいいのか。長期間の野生オランウータンの研究に基づいた的確な情報の発信と、透徹した視点に立った方策を提起していかなくてなりません。また、保護策を提起するだけでは駄目です。具体的に支援の手を差し伸べ、実行していくことが必要なのです。
1991年からインドネシアではじめられたオランウータンの孤児を救出するという名目のリハビリテーション事業も、オランウータンの文化行動を知らない救助策で、今後見直されなくてはならない状況となっているのが実情です。このような状況の中で現地での経験と知識を生かして、具体的な事業を提起していきます。
MOFの活動は、これまでの研究者と住民の協働に加え、より広範、かつ多面的な活動を目指します。現地の活動を円滑に進めるためには国際的な協力支援体制が欠かせません。こうした現状を日本の幅広い各層の個人・企業へ協力を呼びかけます。
 
 
 

 

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